日本人全ての総氏神である、伊勢の「神宮」を訪問しました。伊勢神宮には、太陽を神格化した天照大御神を祀る皇大神宮(内宮)と、衣食住の守り神である豊受大御神を祀る豊受大神宮(外宮)の二つの正宮があります。今年は式年遷宮の年であり、20年ごとに内外両宮の正宮の正殿を始めとする諸神社の正殿を造替して神座を遷し、宝殿、外幣殿、鳥居、御垣など計65棟の全社殿を造替する他、装束・神宝、宇治橋等も造り替える歴史的な年でした。
地域活性化や観光の視点からも学ぶ点が多い地域であり、大変有意義な視察となりました。
宇治橋前の大鳥居をくぐると、内宮となります。美しい五十鈴川で手を清め、木々に囲まれた境内へ向かいます。正式には、外宮から内宮が正しい参拝順序らしいですが、私達は正式参拝を予約していたので、内宮からの参拝となりました。
御正宮は撮影禁止でした。式年遷宮の年なので、旧宮も隣に残っており、20年の月日を経た素晴しいおもむきとなっていました。また20年後も参拝したいと思いました。
猿田彦神社は内宮の近くにある神社で、猿田彦大神とその子孫の大田命を祭神としています。本殿は「さだひこ造り」と呼ばれる特殊な妻入り造であり、この地域では普通の住宅でも妻入りが多く見られました。手塚治の「火の鳥」に登場する鼻が大きい猿田彦は、この猿田彦大神をモデルとしたと言われています。
皇學館大學で「伊勢の神宮と式年遷宮」について、松本教授の講義を受けました。その後、新道博物館や新宮徴古館などを見学し、歴史や文化を垣間見ることができました。そして賢島の英虞湾にて今回同行した千代田区自民党議員団にて記念撮影、夕陽が綺麗でした。
最後に、地域活性化、観光振興の成功事例として有名な「おはらい町通り」や「おかげ横丁」を見学しました。伊勢特有の古い街並みが800mにもわたり続く参道は、実は10足らずで江戸時代の街並みを再現したものです。伊勢市は1989年に「伊勢市まちなみ保全条例」を制定し、電線地中化と路面の石畳化を実施しました。町並みが整い始めた1990年代から「おはらい町」の名を前面に押し出すようになったそうです。神田でもできないか?思案中です(笑)。
昨年の出雲大社に続き、今年は伊勢の神宮を訪問でき、普遍的な日本人の価値観を再認識できたと思います。建築専攻としては、世界に誇れる美し建築デザインと伝統や技術の継承システム、環境に優しいリサイクルなど、多くのことを学ぶことができました。江戸時代には一生に一度の夢といわれ、江戸から片道15日をかけて参拝していた「お伊勢参り」、今回は2泊3日の強行スケジュールでしたが、本当に有意義な時間となりました。